UKのフィー!から、限定ペーパースリーヴでのリリース。見開き紙ジャケ仕様。ピーター・ハミルはロンドン出身のシンガー&シンガー・ソング・ライター(SSW)で、何よりヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター(VDGG)のリーダーとして知られていると思う。ソロとVDGGで現在も現役で活動を続ける孤高の巨人。本作は、21年にリリースされた38枚目のソロ・アルバムで、全て他人の曲を歌ったカヴァー集。ボーカルとギター、ピアノ、シンセを軸とした全てハミル1人によるパフォーマンス。ペギー・リーやフランク・シナトラで知られる1曲目、ファブリツィオ・デアンドレ、ルイジ・テンコ、ピエロ・シャンピの2,4,9曲目、アストル・ピアソラの3,7曲目、19世紀フランスの音楽家ガブリエル・ユルバン・フォレの6曲目、19世紀ドイツの詩人フリードリヒ・リュッケルトの詩にグスタフ・マーラーが曲を付けた10曲目等々、原曲が英語以外の曲は自ら英訳した詞で歌っている。概ね、明らかにボーカル・ラインを主役としたアレンジで、ボーカルとハーモニー・コーラスの存在感は圧倒的だが、寄り添うようにサポートするバックにもサイケな一捻り感あり。コロナ禍のロックダウンの中で、おそらく自身のフェイヴァリット曲をハミルなりにカヴァーしたという感じだが、曲相は違ってはいるものの結局ハミル的なるもの全開という印象で、濃密なシンギングを堪能出来る。
輸入盤
(Progressive/Psyche,Post Rock / Paper-Sleeve CD(2021) / Fie! Records/UK)