UKのヴァージン/EMIから、79年9月24日のBBCジョン・ピール・ショウ音源2曲をボーナスで加えての、06年新規リマスターでのリシュー。ピーター・ハミルは、ロンドン出身のシンガー&シンガー・ソング・ライター(SSW)で、何よりヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター(VDGG)のリーダーとして知られていると思う。ソロとVDGGで現在も現役で活動を続ける孤高の巨人。本作は、79年にUKカリスマからリリースされたエイス・ソロ・アルバムで、ほとんどはハミル1人によるレコーディングで、曲によってVDGG、VDGの僚友デヴィッド・ジャクソンとグレアム・スミスが参加。今回はニュー・ウェーヴの要素を取り入れているのだが、結局はハミル的としかいい様のないサウンドに仕上がっていて、それはそれで凄いことに違いない。情感が前面には出ない硬質で冷たい雰囲気や、スリーヴのニュー・ウェーヴ的イメージも手伝ってか、前作同様にVDGG愛好家からも無視されがちな人気のない作品のようだが、1,5,6曲目のリリカルな美しさは絶品で、VDG的な10,11曲目も文句なしにカッコいい。75年の「ナディアズ・ビッグ・チャンス」の時のパンクもそうだったが、ハミルはアンテナの張り方が素早く敏感で、新しい要素をそれが流行る前に先駆けて取り入れていて、しかも結局自分のスタイルに消化して提示してくる。確かにあまりパっとしない曲もあるかも知れないが、少なくとも前述のナンバー群は抜群で、10,11曲目をピアノ弾語りと多重ボーカルで展開するボーナス2曲も含め、ハミルの圧倒的なボーカルが胸に染み込む好盤と思う。カッコよし!。EUプレス盤
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Psyche,New Wave / Jewel-case CD(2006 Re-master) / Virgin,EMI/UK,EU)