UKのシーリー・コート・デジタルから、テクスチャー紙見開きデジスリーヴでのリシュー。21年新規リマスター盤、380枚限定プレス。カラコルムは、おそらく69年頃にロンドンで結成されたグループで、71年頃まで活動したようだがリアル・タイムでの作品リリースはなかった。本作は、70年と思われる未発表音源で、メンバーは、ジェームズ・ウィリアムズ、ポール・コボルド、マーティン・チェンバースのトリオ編成で、インプロを交えたサイケ/プログレ方面のサウンドを展開。時折弓弾きも交えてよく動くベース、わりと手数の多い叩きまくりタイプのドラム、どちらかというとリズム・キープに回ることがい多いギターという、通常とは役割が逆転した感じの面白いトリオ・アンサンブルで、カオティック感が担保されたサイケなハミ出し感を放つ。もしかしてライヴ(そうでなければ一発録り)と思われる音質は、少しこもり気味で今一つ感はあるが、エコーをカマせた弓弾きベースのサイケ感が異様というか独特で、わりとオーソドックスなコード進行や煮え切らない楽曲とのミスマッチも、結果として妙な味わいを生んでいる。演奏は下手ではないが未整理感が強くグシャッとした印象になってしまっていて、そこがアングラ感満点のB級感に収束するが、もし目の前で演奏を観ていれば聴いてしまうだろう臨場感と濃密さは十分。無理にチェックすることはないかも知れないが、ブリティッシュ・ロックの深いところの好サンプルかも知れない。
輸入盤/限定380枚プレス
(Progressive/Psyche,Art Rock / Digi-Sleeve CD(2021 Re-master) / Seelie Court Digital/UK)