UKのシーリー・コート・デジタルから、テクスチャー紙見開きデジスリーヴでのリシュー。21年新規リマスター盤、380枚限定プレス。エレジーは、元ヘルメットのテリー・エイキンが中心となって、70年にブライトンで結成されたグループで、71年にオーストリアに渡ってウィーンのクラブ・エレクトロニックを拠点に活動、71年にシングル1枚をリリースしたが結局アルバムのリリースはないまま72年に解散した。本作は、72年8月のクラブ・エレクトロニックでのライヴを収録した発掘音源盤で、メンバーは、エイキン、ポール・シーガー、クリス・コックス、スティーヴ・ディ、イアン・ランバートの5人編成。コックスのツバ吹きフルート、シーガーの1人ハード調ギター、ディの弾きまくりウネウネ・ベースを軸とした、ジェスロ・タル近似のサイケ&ハードなプログレを展開。エイキンのボーカルはスッキリしたシャウト系、ランバートのドラムはジャジーさとハードさが同居するドカスカ系だが、ブルース基調の一捻りある楽曲も相俟って全体に初期ジェスロ・タル的で、ある程度のハードネスを維持したままバンド感満点に炸裂する演奏は素直にカッコいい。ビートルズのカヴァー2曲も、畳み掛けるプログレ調アレンジで他曲と違和感なく仕上げていて、インプロでの盛り上がりやテンションの高さも申し分なく、サイケ感が担保されたハードとプログレのゴッタ煮系の好サウンドと思う。少しこもり気味の音質だが聴くには問題なく、ともかくもフルート、ギター、ベースの振り切れ感は圧巻で、知られざるブリティッシュ・ロックの掘出し物的1枚かも知れない。シーガー、コックス、ランバートの3人は71年に掛持で地元のバンドのミスタウフェンに参加、シーガー、コックス、ディは解散後もウィーンに残ってセッション・マンとして活動、さらにシーガーとコックスはカンパニー・モードを結成、エイキンはイギリスに帰国してトゥゲザーを結成。
輸入盤/限定380枚プレス
(Progressive/Psyche,Hard,Blues / Digi-Sleeve CD(2021 Re-master) / Seelie Court Digital/UK)