国内の磨崖仏リミテッドから、本編未使用のマテリアルをコラージュした音源1曲をボーナスで加えての、6面開きデジスリーヴでのリリース。200枚限定プレス。吉田達也は岩手県江刺市(現:奥州市)出身のドラマーで、何よりルインズ、YBO2、高円寺百景、是巨人、サンヘドリン等々や、数多の共演活動で知られるビッグ・ネーム。大和田千弘は岐阜県出身のピアニストで、愛知芸大作曲科を卒業後、渋さ知らズ、烏頭などの他、ナスノミツルとの共演等々幅広く活動している。本作は、23年にリリースされたデュオ名義ファースト・アルバムで、21~23年におけるライヴ音源からのセレクト集。メンバーは、ドラム&ボーカルの吉田、ピアノ&ピアニカ&ボーカルの大和田のデュオで、ローケーションは、1,9曲目が22年7月荻窪ヴェルヴェット・サン、2,5,7,10曲目が22年9月前橋クール・フール、3,8,11曲目が22年4月松が谷なってるハウス、4,6曲目が21年12月四谷サウンド・クリーク・ドッポ。概ね、日本の童謡や民謡をモチーフに、ジャズ的なモード感を加味したような楽曲というかマテリアルを、コール&レスポンスを軸としたほぼ即興に近い演奏で展開していて、お互いが呼応しながら盛り上がっていく見事なインプロヴィゼイションを堪能出来る。少し矢野顕子的といえなくもない大和田の自在なピアノ&ボーカルは、何かが憑依したような巫女的空気感十分だが、吉田のドラム&ボーカルも劣らず巫男的で、2人ともピアノとドラムをキープしながら言葉にならないような声で吠え合い炸裂する様は圧巻。随所にくぐもった響きが担保された大和田のピアノは美しく、吉田のドラムは相変わらず『バカじゃないの』的爆発で、存外にカッコいい好盤と思う。
磨崖仏リミテッド盤/限定200枚プレス
(Progressive/Psyche,Experimental / Digi-Sleeve CD(2023) / Magaibutsu Limited/Japan)