国内のディスク・ユニオン/コロムビアから、09年リマスター音源でのリシュー。コスモス・ファクトリーは名古屋出身のグループで、サイレンサーとバーンズの2つのバンドのメンバーが集まって70年に結成されている。東京に拠点を移して活動中にプロデューサーの立川直樹に見出され、73年にデビューした。本作は、73年に日本コロムビアからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、泉つとむ、水谷ひさし、滝としかず、岡本和男の4人編成で、1曲でヴァイオリンがゲスト参加、プロデュースは立川&ホンマタカオ。ライナーは岩本晃一郎。このボーカル・ラインのメロディアスさを、歌謡曲的とするかプログレ的抒情性とするかで、本作の評価は分かれるのかも知れないが、概ね雰囲気は重くて暗く、例えばクリムゾンの「エピタフ」辺りが好きな人なら、本作を抒情的硬派プログレッシヴ・ロックとして楽しめると思う。オルガンとピアノだけではなく、メロトロンやムーグも的確に使うキーボードのアンサンブルは随分と真っ当で、ハード・ロック調の太いギターや、ズッシリとヘヴィなリズム隊とのハマりも悪くない。例えば、フラワー・トラヴェリン・バンド方面のヘヴィネスと、背後に日本的情念が見え隠れするメロディが、プログレ的アレンジで括られているような印象。フラワーや四人囃子、ファー・イースト・ファミリー・バンド辺りとはまた違った味わいのサウンドで、70年代前半のジャパニーズ・プログレの好サンプルの1つと思う。
ディスク・ユニオン盤
(Progressive/Heavy Symphonic,Hard/ Jewel-case CD(2019 '09Re-master) / Disk Union/Columbia/Japan)