国内の磨崖仏リミテッドから、ペーパースリーヴでのリリース。300枚限定プレスの折込6面ポスター型紙ジャケ仕様。天邪鬼は、藤井郷子フォー、藤井郷子マ・ドゥ、AMU、ガトー・リブレなどで共演の多かった藤井と田村夏樹、藤井の旦那さんの吉田達也(ex.是巨人,ルインズ,高円寺百景,ミッシング・ヘッズ,etc)のコロナ禍での即興セッションが発展して、新たに結成されたグループというかユニット。本作は、24年にリリースされた(只今のところ)ファースト・アルバムで、24年6月21日に渋田公園通りクラシックスで行われた公開レコーディング音源に、一部2月25日吉祥寺曼荼羅でのライヴ音源を加えてミックス&エディットしたもの。メンバーは、前述の藤井、田村、吉田のトリオ編成で、ジャズとロックの狭間を行く感じの和テイストを基調とした即興サウンドを展開。基本的には、藤井&田村フィールドのフリー・ジャズ色を核としつつも、ドカスカな吉田のドラムがロック色を担保していて、ドラムが際立つ即興アンサンブルという意味では、曲調は違う方面だがフィル・ハワード在籍時のソフト・マシーン辺りを彷彿させられる印象。作曲されたテーマやフレーズ部分と、コール&レスポンスが感情的に盛り上がっていく部分のバランスがよく、わりとクールな藤井のピアノ、情感豊かな田村のトランペット、変態感十分でロック調の吉田のドラムと、三人三様のキャラの立ち方も見事。いわゆるジャズ系リスナーにどうなのかはよくわからないが、インプロの曲想とあり方がロックの耳でも飽きずに楽しめる好盤と思う。
磨崖仏リミテッド盤/限定300枚プレス
(Progressive/Psyche,Free Jazz,Avant-Garde / Paper-Sleeve CD(2024) / Magaibutsu Limited/Japan)