ドイツのロング・ヘアーから、15年リマスターでのリシュー。多分初CD化。ヴォルフガング・ダウナーはシュトゥットガルト出身のキーボーティスト兼コンポーザーで、60年代前半からフリー・ジャズに軸足を置いたピアニストとして活動、エバーハルト・ウェーバーとのヴォルフガング・ダウナー・トリオで知られるビッグ・ネーム。60年代後半からは、エト・セトラ等を率いてサイケ、ジャズ・ロック方面でも多彩な活動を展開した。本作は、70年にドイツCTRプロダクションからリリースされたヴォルフガング・ダウナー・グループ名義唯一のアルバムで、72年のドイツ・ブレイン盤のスリーヴと曲順(CTR盤とはA,B面が逆)でのCD化。メンバーは、ダウナー、ウェバー、ジークフリート・シュワブ(ex.エンブリオ,etc)、ローランド・ヴィティッヒ、フレッド・ブレースフルの5人編成で、プロデュースはホルスト・A・リシュカ。アメリカ人ドラマーのブレースフル以外の4人は、同時期のヴォルフガング・ダウナー・クィンテット(WDQ)のメンバーで、基本的にはWDQに近似するサイケ色の強いジャズ・ロック調のサウンドを展開しているのだが、全体に踊れるモンド色とヒップな空気感が強く、その意味ではクラブ・ミュージック的な香りも漂う。ゆるいセッション感の漂う雰囲気で、クールでパーカッシヴなツイン・ドラムに乗せて、オルガン、ピアノ、ギター、ベースが適時リードを取りインプロで盛り上がる演奏は非常に上手く、ルックスはムサいオッサン達だがオシャレ感十分のサウンド。特に、喋っているようなギターとオルガン、フルート辺りが面白く、正しくサイケで演奏もカッコいい好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Psyche,Jazz Rock / Jewel-case CD(2015 Re-master) / Long Hair/German)