ドイツのクアドラティッシュ・レコードから、3面開きデジパックでのリリース。シュテールはおそらくハノーヴァー出身のグループで、クアドラティッシュのレーベル主宰者でもあるギタリストのダニエル・S・ショルツが中心となって08年に結成されている。本作は、08年にリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、ショルツ、クラウス・M・エッシャー、ヨハネス・アウッペルレ、クサーヴァー・フックス、ピット・マークアルトの5人編成、プロデュースはショルツ。概ねジャズ・ロック方面というか、例えばジャズとチェンバー・ロックをシェイカーでミックスしてカンタベリー・テイストで割ったような、わりと独特のサウンドを展開。全体にジャズ・マナーを担保しつつも、時折フィル・ミラー的なギターやコロコロと涼やかなエレピ、マティアス・アイク的なクールさのトランペットに、キメの多いリズム隊がつかず離れずの間合いで寄り添う。曲によってはアヴァン・ロック調のフリー・フォームさも見せるが、基本的にはストレンジ色を内包したメロディアスなリフやフレーズが主体で、変拍子よりもシンコペーションでハミ出し感や変化を演出するアンサンブルという印象で、派手ではないが演奏はけっこうさりげなく上手い。一聴すると普通っぽいパートも、じっくり聴くとどこか変テコで一捻りある場合が多く、カンタベリー的な丸い音像や湿った質感、ユーモラスさも含め、ある程度年季の入ったリスナーなら楽しめる好盤と思う。ともかくも面白い!。余談だが、バンド名のシュテールとは、ドイツ語でチョウザメのことらしい。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Jazz Rock,Chamber Rock,Canterbury / Digi-Pack CD(2008) / Quadratisch Rekords/German)