ドイツのオールヴァシュル・レコードから、72年の未発表ライヴ音源2曲をボーナスで加えての、3面開きデジパックでのリシュー。サブジェクト・エスクはミュンヘン出身のグループで、66年に結成されたザ・サブジェクツを母体としている。サイケ・ビート系バンドとして68年にデビュー後、メンバー変遷を経てアート・ロック&プログレ志向のサウンドに変化、サブジェクト・エスクに改名したらしい。ジャーマン・ロック系愛好家には、サハラの前身としても知られているかも知れない。本作は、72年にドイツのエピックからリリースされた唯一のアルバムで、メンバーは、ミヒャエル・ホフマン、パウル・ヴィンツェント、ペーター・シュタードラー、アレックス・ピットヴォーン、シュテファン・ヴィスネット、ハリー・ローゼンキントの6人編成。概ね、ブルースを基調としたジャズ・ロックとサイケ・プログレの狭間的サウンドを展開していて、ジャジーなサックス&フルート、ブルージー&ハードなギター、サイケなオルガンを軸とした演奏は、英詞ということもあってかヴァーティゴやネオン辺りのブリティッシュ・アンダーグラウンド方面にも通じる印象。メロディアスで太いベースとドカスカなドラムによるリズム隊は、わりと安定していてノリがよく、時折聴こえるナイロン弦のアコースティック・ギターやサックス&フルート、ハーモニカ、ヴァイオリン等の絡みも、アクセントになっていて面白い。クラウト的ベタさも含めた楽曲の味わいも悪くなく、B級の捨て難さを放つ好盤と思う。この後、ホフマン、ピットヴォーン、ヴィスネット、ローゼンキントの4人はサハラを結成。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Psyche,Blues,Jazz Rock / Jewel-case CD(1992) / Ohrwashl Records/German)