ドイツのシレーナ・レコードから、おそらく本作と同時期らしい未発表ライヴ音源1曲をボーナスで加えての、デジパックでのリシュー。ロマン・ブンカはフランクフルト出身のギタリストで、何よりエンブリオでの活動で知られていると思う。それ以外にも、エンブリオの別働隊ロジック・アニマルの他、サジャ、ミサス・ビーストリー、ディッシデンテン、アエラ、VOX等々を、ミュンヘンを拠点に渡り歩いた。本作は、80年にプライヴェート・プレスの自主制作盤としてリリースされたソロ名義ファースト・アルバムで、メンバーは、ブンカ、ゲラルト・ルシアノ・ハルトヴィヒ(ex.カルタゴ,モンバサ,etc)、フレディ・ゼッツ(ex.エンブリオ,ミサス・ビーストリー,アエラ,etc)のトリオ編成を基本に、1曲でスン(グレース)・ユン、チリ・ババがゲスト参加、プロデュースはおそらくブンカ本人。概ね、エンブリオやミサス・ビーストリーの流れの延長線上にある、ジャズ・ロック、ファンク、アラビック等々の要素をサイケで括ったようなサウンドを展開していて、ちょっと独特のゴッタ煮感満点。モロにエンブリオ的な1曲目、意外にもピーター・ハミル的なボーカルのポスト・ロック調の2曲目、オウドとシタールによるパキスタンやアフガニスタン辺りのアラビック調な3,4,5曲目、ギターがヘヴィに炸裂するハード・プログレ調の6曲目と、バラバラなようでいてそれぞれに味わいとカッコよさがあって、全体が同じ香りのサイケ感に収束。特に、6曲目のインプロでの盛り上がりは秀逸だが、結局どの曲もセッションを基調としたどこかルーズなバンド感のハマりがよく、その意味でもエンブリオ人脈の人達という印象。日本での知名度はほとんどないかも知れないが、聴けば面白さ十分の好盤と思う。ボーナスのライヴもノリがよくて楽しめる。
輸入盤
(Progressive /Psyche,Jazz Rock,Arabic,Funk / Digi-Pack CD(2020) / Sireena/German)
