UKのアンブレロ・ミュージックからのリリース。ザ・シンは、ステファン・ナルデッリが中心となって65年にロンドンで結成されたグループで、結成当初はR&Bのバンドとして活動していたが、クリス・スクワイアやピーター・バンクスが相次いで加入、サイケ/アート・ロック系の2枚のシングルをリリース。スクワイアとバンクスが揃って脱退(マーベル・グリアーズ・トイショップへ加入、そのままイエスとなる)後は、70年頃まで活動して消滅した。04年にバンクスが、05年にナルデッリとスクワイアがそれぞれバンドを再編してアルバム制作やライヴを行うようになるが、バンクスのほうは長続きせず、ナルデッリとスクワイアの再編シンはメンバー変遷しながら現在も活動(スクワイアは07年に離脱)している。本作は、16年にリリースされたナルデッリのシンのフィフス・アルバムで、スタジオ盤としては前作「ビッグ・スカイ」から7年振りの作品。フランシス・ダナリー(ex.イット・バイツ)も含め、前作までのメンバーはナルデッリを残して一新され、ナルデッリに、シモン・オーケソン、ペッテル・サンドストレーム、ポントゥス・オーケソン、ヨハン・ヴェステルンド、トビアス・ルンドグレーンのムーン・サファリの5人を加えた6人編成が基本で、ヨーナス・ラインゴルト(ex.フラワー・キングス)が曲によってゲスト参加。ナルデッリ従来のメロディアスなポップネスは健在で、嫌味のないキャッチーさといい塩梅の郷愁感を放つ楽曲を、ドラマティックなシンフォニック・アレンジと当世プログレ風のソリッドな演奏で展開。わりと濃密でスカっと突き抜けた感じの好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Pops / Jewel-case CD(2016) / Umbrello Music/UK)