USAのセカンド・ハーヴェストからデジパックでのリシュー。コート紙スリーヴ。特にリマスター表記はないが、音質はわりとクリアで迫力もあってよい。キャパビリティ・ブラウンは、元トディス・チャイルド、ザ・モーメンツのケニー・ロウ、元ファジー・ダックのグラハム・ホワイト等が中心となって、71年にロンドンで結成されたグループで、本作は73年にUKカリスマからリリースされたセカンド・アルバム。メンバーは、ファーストと同じホワイト、ロウ、トニー・ファーガソン、デイヴ・ネヴィン、ロジャー・ウィリス、ジョー・ウィリアムスの6人編成で、ジョン・ミルズとデヴィッド・ヒッチコックの共同プロデュース、インパクトのあるスリーヴはヒプノシス。アフィニティでも知られるアラン・ハルの1曲目や、スティーリー・ダンの3曲目などのカヴァー、ほとんどハード・ロックの4曲目も含め、全体にかなりキャッチーでハーモニー・コーラスの効いた、ハード色も交えたポップ・プログレを展開。例えば、ハード・ロックとプログレとウエスト・コーストをゴタ混ぜにして、少々のファンク風味をふりかけたようなサウンド。ともかくもハーモニー・コーラスが上手いというか印象的で、特に旧LPのB面全てを占める20分を超える大曲の5曲目など、ほとんどクィーンの「オペラ座の夜」という印象(こっちの方が早いのだが)。楽曲は嫌味なくキャッチーで、ギターはハード調、ハーモニー・コーラスはウエスト・コースト調、アレンジはプログレ調のB級ポップネスは、例えばベーブ・ルース辺りのニッチ感に近似するといえるかも知れない。さらに、5曲目ではリュートやリコーダー等々を使って古楽的響きのフォーク・ロックになったり、メロトロンがガーっと鳴ってドラマティックに盛り上がったりもして、あまり幅広くウケるタイプではないかも知れないが、演奏も真っ当で全体に濃密な好盤と思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Pops,Hard,Symphonic / Digi-Pack CD(2008) / Second Harvest/USA)