ノルウェーのカリスマ・レコードからのリリース。ウィザードはノルウェー出身のグループで、スパイダーガウド、ドラケンのハルヴァル・ゴールドレス、メガロドン・コレクティヴのカール・ハウクランド・ビョロ、ソフト・フォグのヴェガルド・リエン・ビェルカンとアレク・スカルスタードの4人が集結して22年に結成されている。本作は、22年にリリースされた只今のところファースト・アルバムで、メンバーは、前述のゴールドレス、ビョロ、ビェルカン、スカルスタードの4人編成、プロデュースはマルティン・ホルンヴェット。この4人は、他にもオランゴ、ウッドランド、エメルートズ・アメーバ、イエス・ディア、MMOアンサンブル、レリング、クロコファント、ショーンなどなど、数多のバンドやユニットの関連メンバー達で、並行活動も多い。概ね、70年代懐古型当世風ヘヴィ・シンフォニック路線なのだが、イエス調シンフォニック・プログレ感とカンタベリー調サイケ・ポップ&ジャズ・ロック感を基調に、ジェントル・ジャイアント的変態変拍子を随所に織り交ぜたサウンドを展開。メロディやフレーズはわりとキャッチーながら、一捻りある煮え切らなさが担保されていて、ちょっと独特の味わいがけっこう面白い。ポスト・ロック調のタイトなハードネスを内包した演奏は、それなりに華麗で素直にカッコよく、上手くてバンド感も十分。例えば、ジェントル・ジャイアント的な楽曲とアレンジが、イエス的なハードネスの演奏に収束しているような印象で、軽快かつ濃密なヘヴィ・シンフォニック・プログレ系として、その線の愛好家ならまずもって楽しめるだろう好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Heavy Symphonic / Jewel-case CD(2022) / Karisma Records/Norway)