ノルウェーのノルスケ・アルバムクラッシケレから、22年新規リマスター&見開きデジスリーヴでのリシュー。音質はクリアでよい。ヴァネッサは、管楽器奏者兼マルチ奏者のスヴェン・ウンセート、元ムース・ルースのブリュヌルフ・ブリクスやホーコン・グラーフ(ex.ルーファス,etc)等が中心となって74年にオスロで結成されたグループで、本作は70年にノルウェーのコンペンディウム・レコードからリリースされたセカンド・アルバム。メンバーは、ウンセート、フローデ・ホルム、ハラル・サラーテル、トールステン・ダルスルードの4人編成で、75年の前作「シティ・リップス」からウンセート以外のメンバーが一新されている。その大幅なメンバー交代もあってか、ファンキーなジャズ・ロック路線だった前作とはかなり趣を異にする、RIO系チェンバー・ロック色内包のジャズ・ロック調プログレを展開。ミニマル調のエレピやコーラス&ファズ系エフェクトをカマせたベース、フレーズを軸としたドラム、ジャジーな管楽器と鋭角なギターなどによるインプロ主体のアンサンブルは、例えばナショナル・ヘルスやマッチング・モウル、中期ソフト・マシーン、ヘンリー・カウ辺りの要素をゴタ混ぜにしたような印象。ジャズを基調としつつも煮え切らない宙吊り感十分のリフ、フレーズ、テーマ、コード感、妙なアレンジも相俟って、オシャレさやエレガントさは薄いが結果としてけっこうカンタベリー的で、何というか聴いていて存外に面白い。アヴァン・ギャルドのキテレツさが目立っているようでいて、演奏は非常にテクニカルでカッコよく、聴き込むにつれ味わいの出る好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Jazz Rock,Psyche,Chamber Rock / Digi-Sleeve CD(2022 Re-master) / Norske Albumklassikere/Norway)