ノルウェーのアポロン・レコードから、デジパックでのリリース。トロノソニック・エクスペリエンスは、おそらくノルウェーのギスケを拠点とするグループで、既にソリストとして活動するエイヴィン・ニューパンや、元エルヴィン・フレンドリーのペール・ハラル・オッテセンが中心となって16年頃に結成されている。本作は、22年にリリースされたサード・アルバム「ザ・シャドウ」のパート2で、パート1と2枚で1つの作品とのことのようだ。メンバーは、ニューパン、ハラル・オッテセン、オーレ・ヨルゲン・バーダル、ヤン・インゲ・ニルセンの4人編成。概ね、炸裂系ジャズ・ロック方面のサウンドというか、例えばテリエ・リピダル辺りの冷たい爆発感を、パンキッシュなポスト・ロック調で展開しているような感覚。達者に弾きまくるギターと太いグルーヴ感のベースを軸に、タイトで手数の多いドラム、時折エフェクトもカマせるサックス、ジャーマン・クラウト感内包のエレクトロニクスが絡むアンサンブルは上等で、カっ飛ばし系のセッション調ナンバーでのグイグイ盛り上がる演奏は素直にカッコいい。ダークなアングラ感が担保されたエレクトロニクス中心のナンバーは、ジャジーなテイストと妖しさが交叉していて、マティアス・アイク辺りにも通じる独特なECM的プログレ感も放つ。ともかくも、インプロでの火を吹くような盛り上がりはけっこう圧巻で、パート1同様にガツーンとハイテンションな疾走感を堪能出来る好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Jazz Rock,Psyche / Digi-Pack CD(2022) / Apollon Records/Norway)