ノルウェーのカリスマ・レコードからのリリース。ビヨーン・リースはオスロ出身のギタリストで、プログレ系リスナーにはエアバッグでの活動で知られているかもしれない。本作は、19年にリリースされたソロ名義フォース・アルバムで、メンバーは、ボーカル、ギター、ベース、キーボード、プロデュース兼任のリース、ピアノのシムン・ヴァルダル・ヨハンネセン、ドラムのヘンリク・ベルガン・フォッスムのトリオ編成、マスタリングはヤーコプ・ホルム・ルーポ(ex.ホワイト・ウィロウ,etc)。エンジニアを担当したヴェガルト・クレフタース・シュレイプネスも含め、ほぼエアバッグ関連メンバーによる制作で、ピンク・フロイドとオルタナ/ポスト・ロックのハイブリット路線は担保しつつ、エアバッグよりも情感の発露がフロイドに寄っている印象。グランジ調のストロークやハードネスにメロトロン的なキーボードが重なるパートなどは、無理にアネクドテン的と云えなくもないが、ともかくも楽曲のメロディやコード感はフロイド的、ギターのブルージーな泣きはデイヴ・ギルモア的で、キング・クリムゾン的ダークネス基調のアネクドテン方面とは明らかに趣を異にする。線の細いボーカルといい塩梅のリヴァーブ感のギターが、全体のアンバーなエレガントさを担保していて、ベタになり過ぎないフロイド的泣きも随分と熟れてきた感じ。この人のソロ作品は、ある意味金太郎飴的でどれも似ているが、いずれにせよ淡い情感が胸に染み込むサウンドは心地好く、もしかして酒が進む好盤と思う。余談だが、4曲目の女性スキャットはシシェルのサンプリングか?。カッコよし!。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Blues,Post Rock / Jewel-case CD(2019) / Karisma Records/Norway)