ノルウェーのカリスマ・レコードから、見開きデジスリーヴのリリース。ビヨーン・リースはオスロ出身のギタリストで、プログレ系リスナーにはエアバッグでの活動で知られているかもしれない。本作は、18年にリリースされた5曲入のEPCD的作品だが、ほとんどが新曲なのでソロ名義サード・アルバムとする。メンバーは、ボーカル、ギター、ベース、キーボード、プロデュース兼任のリースを核に、エアバッグの僚友ヘンリク・フォッスム、ヴェガルト・クレフタース・シュレイプネス、オーレ・ミカル・ビヨーンダルの他、シシェル等が曲によって適時参加。概ね前作の延長線上にある、「鬱」以降のピンク・フロイド調プログレ感とオルタナ/ポスト・ロック調ハードネスの折衷的サウンド変わらずだが、随所にティム・ボウネス的なメロディやコード感も顕われて来ている印象。この、フロイド的泣きのプログレ感とボウネス的ポスト・ロック調情感のマッチングの妙は、70,80,90年代プログレを繋ぐ細い糸のようなものが、00年代を経て現在までも続いているということの証左の1つなのかも知れず、その意味では巷の認識がどうであれ、メロディック・プログレ系のど真ん中の流れの1つとも云えるかも知れない。端的にデイヴ・ギルモア的なブルージーさのギターの泣きが、淡い冷たさを内包したポスト・ロック感に収束する感じは素直に心地好く、北欧の風がス~っと通り抜ける好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Blues,Post Rock / Digi-Sleeve CD(2018) / Karisma Records/Norway)