ノルウェーのカリスマ・レコードからのリリース。ビヨーン・リースはオスロ出身のギタリストで、プログレ系リスナーにはエアバッグでの活動で知られているかもしれない。本作は、17年にリリースされたソロ名義セカンド・アルバムで、メンバーは、ボーカル、ギター、ベース、キーボード、プロデュース兼任のリースを核に、曲によってエアバッグの僚友アスレ・トストループ、ヘンリク・フォッスム、ヴェガルト・クレフタース・シュレイプネス、アンネシュ・メラーの他、シムン・ヴァルダル・ヨハンネセン、シシェル等が適時参加。概ね、「鬱」以降のピンク・フロイド調プログレ感を基調に、オルタナ/ポスト・ロック調ハードネスを織り込んだサウンドを展開していて、その意味ではエアバッグと遠からずの部分もあるが、フロイド的泣きの情感はこちらの方が強く顕われている印象。完全にギター中心のアンサンブルでもなく、ピアノやソリーナによる哀愁のコード感もプログレ然とした情感を担保していて、時折ザクザクしたグランジ調のストロークも交えながら、デイヴ・ギルモア的なブルージーなギター・ソロで盛り上がる。静から動へのダイナミズムの構成が真っ当というか、盛り上がりまでの手順を丁寧な道筋でちゃんと辿っていて、このギルモア的な泣きのギターは素直に心地好い。少し頼りなげな線が細めのボーカルも、結果としてベタになり過ぎないいい塩梅の淡さ加減を担保していて、嫌味なくメロディアスな楽曲も悪くない。当世情感プログレ系としては、ティム・ボウネス辺りとまた少し違ったテイストの好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Blues,Post Rock / Jewel-case CD(2017) / Karisma Records/Norway)