ノルウェーのカリスマ・レコードから、見開きデジスリーヴ&CD+DVDの2枚組でのリシュー。エアバッグはオスロ出身のグループで、アスレ・トストループとビヨーン・リースが中心となって04年に結成されている。最初は、同じ学校の生徒が集まった高校生バンドだったらしい。本作は、20年秋にストリーミング配信された、オスロのサブソニック・ソサエティ・スタジオでのアンプラグド・ライヴ音源&映像を収録した2枚組で、メンバーは、ボーカルのトストループ、アコギのリース、ヘンリク・ベルガン・フォッスムのトリオ編成。フォッスムのストロークに乗せて、落ち着いたトーンでトストループが歌い、リースがオブリガードやソロ、フレーズ、ハーモニー・コーラスで装飾するスタイルで、全体がしつこくない郷愁感に収束する、流していて非常に心地好いサウンドを展開。20年フィフス「ア・デイ・アット・ザ・ビーチ」から3曲(1~3曲目)、09年ファースト「アイデンティティ」から2曲(5,6曲目)、未発表曲1曲(4曲目)という構成で、スタジオ盤のバンド編成アレンジとは違った、ボーカルと楽曲の情感を主軸とするしっとりとした美しいアンサンブルを堪能出来る。全体に派手なテクニカルさではないが、シンプルで粒の揃ったフォッスムのストロークと、デイヴ・ギルモア方面のブルース感を放つリースのソロやフレーズは上等で、トストループの寸止め熱唱ボーカルも一体となったいい塩梅のダイナミズムは、ある種の演奏の錬金術が生まれている印象。この、淡々と切ない感じのメロディアスな哀愁は、日本のプログレ系リスナーにはわりとツボかも知れず、その線の愛好家はけっこう楽しめる好盤と思う。DVDはPAL/R0で、PAL対応DVDプレイヤーかPCで観れる。心地好し!。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Folk / Digi-Sleeve CD(2021)+DVD(PAL/R0) / Karisma Records/Norway)