イタリアのフィリップスからのリシュー。おそらく12年再プレス盤。レ・オルメはヴェネツィア出身のグループで、アルド・ターリャピエトラやニーノ・スメラルディが中心となって66年に結成されている。60年代はいわゆるサイケ・ビート系のポップな音楽性だったが、キーボード・トリオ編成となった71年のサード・アルバム以降は、シンフォニック・プログレ路線にシフト・チェンジした。本作は、73年にイタリアのフィリップスとUKカリスマからリリースされたフィフス・アルバムで、メンバーは、前作と同じターリャピエトラ、トニ・パリューカ、ミキ・ディ・ロッシのトリオ編成、プロデュースもジャン・ピエロ・レヴェルベリ。ピーター・ハミルの英訳歌詞による英語バージョン盤が、70年代末には『イタリアのELP』の触れ込みで国内盤もリリースされていたので、おそらく日本では最も著名なオルメの作品かと思う(本作はオリジナル・イタリア語ヴァージョン)。確かにELP的な部分は多いにあるキーボード・トリオなのだが、楽曲自体はそれ程ELP的部分は多くなく、ある意味典型的なイタリアン・ヘヴィ・シンフォニック系の抒情性が感じられ、ELPのメインストリーム的なキャッチーさとは趣を異にするシンフォニック然としたメロディアスさを放つ。トータル・コンセプト作品ということもあって、全体にダイナミズムがはっきりとしたドラマティックなアレンジで、オルメの諸作の中ではわりと異質な暗めの雰囲気という印象も受けるが、してみるとその暗さにハミルは同調したのかも知れない。ともかくもシンフォニック然とした好盤で、イタリアン・プログレ愛好家ならまずます楽しめると思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Heavy Symphonic,Folk Rock / Jewel-case CD(2012) / Philips/Italy)