イタリアのフィリップスからのリシュー。おそらく12年再プレス盤。レ・オルメはヴェネツィア出身のグループで、アルド・ターリャピエトラやニーノ・スメラルディが中心となって66年に結成されている。60年代はいわゆるサイケ・ビート系のポップな音楽性だったが、キーボード・トリオ編成となった71年のサード・アルバム以降はシンフォニック・プログレ路線にシフト・チェンジして、日本でも知名度の高いイタリアン・プログレ系バンドの1つとなった。本作は、72年にイタリアのフィリップスからリリースされたフォース・アルバムで、確か邦題は「包帯の男」。メンバーは、前作と同じターリャピエトラ、トニ・パリューカ、ミキ・ディ・ロッシのトリオ編成で、プロデュースもジャン・ピエロ・レヴェルベリ。次作「フェローナ&ソローナ」の影に隠れてしまいがちで、巷では今一つ評価の定まらない作品のようだが、前作から格段に演奏力が向上していて、メロディス&ドラマティックなイタリアン・シンフォニック・サウンドを堪能出来る。前作のようには出来ないことに無理には挑戦せず、出来る範囲のフレーズやリフで練ったアレンジを安定した演奏で展開していて、この3人でのトリオ編成のハマりのよいバランスを見つけた印象。クラシックと地中海音学を絡めた楽曲は、イタリア臭のあるメロディアスさが味わい深く、楽曲のよさと演奏のカッコよさでは「フェローナ&ソローナ」より上かも知れない。全体に、滑らかな牧歌的プログレ感が滲み出る浮遊感に収束していて、ともかくも心地好い好盤と思う。素敵!。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Symphonic,Folk Rock,Mediterranean / Jewel-case CD(2012) / Philips/Italy)