イタリアのヴィニール・マジックからのリシュー。特にリマスター表記はないが、音質はクリアでよい。メタモルフォーシは、シチリア島出身のジミー・スピタレッリとエンリコ・オリヴィエッリが中心となって、69年にローマで結成されたグループで、日本のリスナーにはダンテの『神曲』をモチーフにした73年のセカンド「インフェルノ」がよく知られているかも知れない。本作は、72年にイタリアのヴェデットからリリースされたファースト・アルバムで、邦題は確か「6番目の日」。メンバーは、スピタレッリ、オリヴィエッリ、ルチアーノ・タンブッロ、ロベルト・チュルビトーシ、マリオ・ナターリの5人編成で、ラフ・ピッコロとロビィ・クリスピアーノの共同プロデュース。ともかくも、いかにもイタリア的なスピタレッリの熱唱型ヴォーカルのインパクトが大きく、このグループの最大の特徴ということになると思うが、派手ではないが細やかなオリヴィエッリのキーボード群がいい味出していて、ブルージーなギターとドカドカのリズム隊のラウド感も妙なマッチングを見せる。このイタリア臭満点感は、ポイント毎のメロディアスさとちょっと強引な展開、暑苦しさとクールさが宙吊りのまま同居しているタイプで、いかにもイタリア然としたイメージにハマる。地中海音楽の要素も隠し味的に入っていて、例えばシチリア民謡などのメロディが、メンバー達のバックボーンにあるのかも知れない。全体の迫力はセカンドのほうが上だし知名度も断然あるが、本作は本作でけっこう味わい深いB級ヘヴィ・シンフォニックに仕上がっていて、イタリアン・ロック愛好家なら問題なく楽しめると思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Heavy Symphonic / Jewel-case CD(2000) / Vinyl Magic/Italy)