イタリアのマ・ラ・カシュ・レコードから、19年9月25日のローマ・プログ・フェスでのライヴ音源1曲をボーナスで加えての、見開きデジスリーヴでのリリース。デ・ロッシ&ボルディーニは、タプロバン等のジャンルカ・デ・ロッシと、元ルスティッチェリ&ボルディーニ、チェリー・ファイヴの御大カルロ・ボルディーニが、07年にローマで結成したデュオ・ユニット。08年ムゼア盤オムニバス「ザ・デヴァイン・コメディ・パート1~ダンテズ・インフェルノ」に参加後、14年の再編チェリー・ファイヴや15年に及ぶデュオとしてのライヴ活動を経て、21年にファースト・アルバムとなる本作をリリースした。メンバーは、各種キーボード&ボーカルのデ・ロッシ、ドラムのボルディーニのデュオ編成で、プロデュースはマッシモ・オルランディーニ。概ね、予想通りのキーボード・シンフォニック・プログレ方面で、インスト中心で時折ボーカル入というスタイルやプログレ感はルスティッチェリ&ボルディーニと同じだが、より重厚かつヘヴィで非常にプログレ然としたサウンド。オルガンとピアノ&エレピを軸に、シンセやメロトロンを適時織り交ぜたキーボード群は、例えばキース・エマーソンのような華麗さはではないが十分に分厚く、各音色の70年代感のハマりがよくてかなり楽しめる。おそらく70歳前後のボルディーニのドラムも、衰え知らずというか安定して達者で、ノリのよい饒舌なドラミングが場面転換を的確にフォローしていて、多彩なキーボード群とのバランスの取れたアンサンブルを堪能出来る。前述のムゼア盤オムニバス収録曲のリメイク(1曲目)も含め、ともかくもイタリアン・プログレ然とした好盤と思う。ウィリアム・ブレイクの水彩画をあしらったスリーヴも素敵。
輸入盤
(Progressive/Heavy Symphonic / Digi-Sleeve CD(2021) / Ma.Ra.cash Records/Italy)