イタリアのメロウ・レコードから、3面開きデジパックでのリリース。チェレステはサンレモ出身のグループで、60年代末期にイル・システマで活動していたレオナルド・ラゴリオとシロ・ペッリーノが、73年に再び合流して結成された(ラゴリオはイル・システマ解散後にムゼオ・ローゼンバッハに加入したが、アルバム制作前に脱退)。本作は、24年にリリースされたセクス・アルバムで、メンバーは、前作からのペッリーノ、マウロ・ヴェーロ、マルコ・モーロ、フランチェスコ・ベルトーネ、エンツォ・シオッフィの5人を軸に、曲によってマルコ・カネパ、セルジオ・カプート、パオロ・マッフィ、イネス・アリプランディ等が適時ゲスト参加、ペッリーノのマウロ・モローニの共同プロデュース。ファーストから一貫したアコースティック・シンフォニック・プログレ路線を基調としつつも、管楽器やギターがわりとジャージーなテイストを加味していて、楽曲もシンフォニック・プログレ然としたクラシカル&メロディアスな要素が強くなっている印象。その意味では、従来の淡い情感方面よりも彩りが顕われている感じだが、とはいえ、メロトロンやソリーナのしつこ過ぎない洪水具合や、木漏れ日的情感、牧歌的空気感は十二分に担保されていて、結局チェレステ調サウンドに収束。要は、少し都会的でオシャレなテイストを混ぜてみたのかも知れないが、どうしても従来のイモっぽい郷愁感が覆いかぶさってきていて、しっとり系プログレとしての矜恃十分。メロトロンやアコギ&ピアノ、フルートやヴァイオリンの耳触りの丸い響きが心地好い、日本のシンフォニック系リスナーの琴線をくすぐる好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Folk Rock / Digi-Pack CD(2024) / Mellow Records/Italy)