イタリアのヘヴィ・サイキ・サウンドから、3面開きデジパックでのリリース。エクスタティク・ヴィジョンはペンシルベニア州フィラデルフィア出身のグループで、元ア・ライフ・ワンス・ロストのダグラス・サボリックとジョーダン・クロース、ケヴィン・ニクルズ(ex.ライジング・スクエアーズ,etc)等が中心となって13年に結成されている。本作は、22年にリリースされたフォース・アルバムで、メンバーは、前作と同じサボリック、ニクルズ、マイケル・フィールド・コナー、リッキー・カルプの4人編成、ニクルズはライジング・スクエアーズと並行活動。概ね、70年代ホークウインド的サイケ・ハードを、ニルヴァナ以降のグランジ／ポスト・ロック調の演奏で展開するサウンド変わらずというか、ドラッギーな妖しさと不良感はほぼ満点。ファズ＆ワウ過剰気味のザクザクしたマシンガン・ギター、エフェクトのハマったサックス、チープ＆ノイジーなキーボード、動きまくる炸裂ファズ・ベース、ドカドカの疾走ドラムによる演奏は、ともかくも盛り上がりっぱなしで素直にカッコよく、全体にカっ飛ばし系のバンド感十分。例えば、レミー在籍時辺りのホークウインドのサイケ感やハードネスにフォーカスしている印象だが、ブラック・サバス方面とも近からず遠からずのヘヴィネス内包で、結果として爆発感ありきで縦ノリがくずれて横ユレになってしまったようなグルーヴ感も面白い。叫び系のガナリ声ボーカルの味わいは薄いが、一貫してゆるぎなく弾きまくるリード・ベースと、マシンガン・ギターのリフ＆カッティングの突っ走るセッション感は、70年代スタイルのハード系愛好家なら大いに楽しめるだろう好盤と思う。
輸入盤
(Psyche Hard/Heavy Psyche,Blues / Digi-Pack CD(2022) / Heavy Psych Sounds/Italy)
