UKのシーリー・コート・デジタルから、テクスチャー紙見開きデジスリーヴでのリリース。400枚限定プレス。チャージは、ベイビー・バーサのデイヴ・エリスとイアン・マクラフリンが、スウィート・ポイズンのピート・ギボンズを誘って72年に新たに結成したグループ。本作は、73年にプライヴェート・プレスの自主制作盤として99枚制作されたといわれている唯一のアルバムで、白ジャケのオリジナルLPはサイケ＆ハード系の著名コレクターズ・アイテム。メンバーは、前述のエリス、マクラフリン、ギボンズのトリオ編成で、何でも73年1月某日に10時間程でレコーディングしたらしい。概ね、ブルースを基調としたサイケ・ハード方面のサウンドだが、楽曲やアレンジにプログレ色が担保されていて、カっ飛ばし系のハード感、ファズ＆ワウ多用のサイケ感、アングラなプログレ感がゴッタ煮状態のまま同居。けっこう達者なギターとぶっきらぼうなボーカルを軸に、適度に動き回るベースとドカドカ系のドラムが一体となってそれなりに盛り上がる演奏は、ギター・トリオとしてバランスは悪くなくわりと素直にカッコいい。後でギターを重ねているが、基本的な部分は一発録りだったと思われ、ハード調の勢いのよさとバンド感は十分で、センスB級のサイケ＆プログレ色の煮え切らないマッチングや、自主制作レベルの少しこもり気味の音質が、結果として妙な味わいを生んでいる印象。数多ある高価なコレクターズ・アイテムの中では、まだそれなりに内容が伴っている1つかも知れず、今回、オリジナルLPに付いていたポスターの色をオリジナル通りに再現したスリーヴということも含め、サイケ＆ハード系愛好家なら普通に楽しめるのではと思う。
輸入盤／限定400枚プレス
(Psyche Hard/Blues,Progressive,Psyche / Digi-Sleeve CD(2022) / Seelie Court Digital/UK)
