USAのキュニフォーム・レコードからのリリース。ヤンは、元シャイロック、フィルハーモニーのフレデリク・レペが中心となって、02年にニースで結成されたグループ。04年のファースト・アルバム以降、適時ライヴ活動を交えながら5~7年のスパンで断続的にアルバムをリリース、シャイロック時代のキング・クリムゾン&プログレ色、フィルハーモニー時代のアヴァン&チェンバー・ロック色を融合した独特のサウンドを展開している。本作は、22年にリリースされたフォース・アルバムで、メンバーは、レペ、ローラン・ジャメ、ニコ・ゴメス、ヴォロディア・ブリスの4人編成を基本に、曲によってアイシェ・ジャンス・タンリクルがゲスト参加、マルクス・ロイターとレペの共同プロデュース。概ね、従来のクリムゾン+チェンバー・ロック調を担保しつつ、半分程の曲で新たに導入されたボーカルが、ギターのミニマル色を補強する方向でハマっていて、ある種のエレガントさを生んでいる印象。残りのインスト曲群は、ロバート・フリップ的反復リフ&アルペジオを基調に、ブルースとジャズの要素を隠し味的に織り込んだツイン・ギターと、タイトでノリのよいリズム隊が、一体となってポスト・ロック調のハードネスに収束。曲によっては、RIO系ダーク・チェンバー感が強かったり、ジェネシス系の正調シンフォニック・プログレ感も交叉するが、全体がレペ的ダンディズムで括られていて、シリアスな空気感と演奏性の高いアンサンブルは素直にカッコいい。バンド感十分の演奏と美しさを内包する妖しいプログレ感が、サイケ調ミニマル感を軸に絡み合う好盤と思う。時折カンタベリー色も感じられ、ともかくも非常に面白い。
輸入盤
(Progressive/Chamber Rock,Psyche,Minimal / Jewel-case CD(2022) / Cuneiform Records/USA)