フランスのル・トリトンから、デジパックでのリリース。ワン・ショットは、96年の再編マグマのメンバー、ジェイムズ・マックゴウ、フィリップ・ブソネ、エマニュエル・ボルギを中心とした別ユニットというかグループで、99年にファースト・アルバムをリリース以降マグマと並行して活動していたが、15年にマックゴウの脳腫瘍で活動を休止後、21年に6年の闘病を経てマックゴウが逝去してしまった。21年10月9日にレ・リラのル・トリトンで行われたマックゴウ追悼コンサートで久々に復活、断続的なライヴ活動を経て新作の構想が纏まり、フィフス・アルバムとなる本作のリリースに至ったらしい(スタジオ盤としては、08年「ダーク・ショット」以来15年振りの作品)。メンバーは、ブソネ、ボルギ、ダニエル・ジャンデュール、ブリュノ・ルデールの4人編成、プロデュースはル・トリトン。ツイン・キーボード編成での初めてのアルバムだが、マックゴウ在籍時からのレパートリーだった2曲目も含め、従来のマグマ方面ズール・ジャズロック的要素を基調としつつ、オルタナ/ポスト・ロック方面のダークな楽曲とソリッドな演奏が、チェンバー・ロック感内包のプログレ色に収束する非常に濃密なサウンドを展開。2台のキーボードは、大抵どちらか片方がギター的な動きや音色で変化をつけていて、重厚なベースとキレのよいドラムとのマッチングも見事。あまり派手な高速パッセージは出てこないが、さりげなく複雑で上等なアンサンブルは聴き応え十分で、ジワジワと独特の盛り上がりを堪能出来る好盤と思う。カッコよし!。
輸入盤
(Progressive/Zeuhl Jazz Rock,Chamber,Post Rock / Digi-Pack CD(2023) / Le Triton/France)