フランスのル・トリトンから、デジパックでのリリース。ワン・ショットは、96年の再編マグマのメンバー、ジェイムズ・マックゴウ、フィリップ・ブソネ、エマニュエル・ボルギを中心とした別ユニットというかグループで、99年にファースト・アルバムをリリース以降マグマと並行して活動していたが、15年にマックゴウの脳腫瘍で活動を休止後、21年に6年の闘病を経てマックゴウが逝去してしまった。本作は、21年10月9日にホームとしていたレ・リラのル・トリトンで行われたマックゴウ追悼コンサートからのライヴ盤で、有料動画配信の好評を受けてのCD化。メンバーは、ブソネ、ボルギ、ダニエル・ジャンデュールのオリジナル・メンバーと、ボルギの後任として09年から参加したブリュノ・ルデールの4人を軸に、曲によってジム・グランカンが適時参加、プロデュースはル・トリトン。グランカンは、マックゴウ、ブソネ、ジャンデュールが参加したセヴン・インディーズのギタリストで、マックゴウの体調不良の際にマグマで代役も務めていた。いわゆるバカテク系のズール・ジャズ・ロック・インストで、コバイア語ボーカル&コーラスのないマグマといってしまえばそれまでだが、テクニカルなアンサンブル全体がポスト・ロック調のソリッドさに収束していて、ある種のジャジーさが担保されていたマグマとは、やはり趣を異にする印象。手数の多い千手観音的ドラムと達者に動きまくるベースのリズム隊はともかくも圧巻で、気色悪さと美しさが同居するツイン・キーボードのハミ出し感もほぼ満点。ダークな曲調に好みが分かれるかも知れないが、ノリのよいバンド感と演奏の濃密さは素晴らしく、バカテク系としてわりと文句なしの好ライヴ盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Zeuhl Jazz Rock,Chamber / Digi-Pack CD(2022) / Le Triton/France)