フランスのジガントニウムから、ペーパースリーヴでのリリース。紙ジャケ仕様。ナウトは、デルフィーヌ・ジュセイン(ex.BOOLVAR,etc)、ラファエレ・リナウド(ex.IKUI DOKI,COAX ORCHESTRA,etc)、ブランシュ・ラフェンテの3人が21年に新たに結成した女性トリオ・ユニットで、本作は21年にリリースされた5曲入デビューEPCD。メンバーは、前述のデルフィーヌ、ラファエレ、ブランシュのトリオ編成で、レーベルとバンドの共同プロデュース。フルート&ノイズ、エレクトリック・ハープ、ドラムという編成で、チェンバー・ロックとプログレの狭間をいく非常に面白いサウンドを展開していて、ポスト・ロック調のソリッドな実験色とプログレ調の70年代的情感が妙なバランスで交叉。適時エフェクターでの変容も交えたフルートとハープは、ノーマルな美しさとノイジーさの緩急と併用が見事でどちらも音は十分に厚く、変拍子やポリリズムも交えて切り込んでくるドラムとのバトル的アンサンブルは、バンド感満点でわりと素直にカッコいい。楽曲のリフやフレーズ、アルペジオやメロディ等には、ジャズやトラッド、クラシックなど色々な要素が内包されている印象だが、鋭角なドラムのリズムを基調に全体がロック的炸裂感に収束していて、今までにあまりなかったタイプのチェンバー・ロック/プログレ系ともいえるかも知れない。時にノイズとアルペジオを片手ずつで同時に奏でるハープやフルートのツバ吹き具合も上々で、ノイジーなパートもノリがよくて聴きやすく、この線としては飽きのこない好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Psyche,Chamber Rock,Avant-Garde / Paper-Sleeve EPCD(2021) / Gigantonium/France)