フランスのACELから、見開きデジスリーヴでのリシュー。アド・ヴィタムは、ザール(XAAL)のギタリストだったジャド・アヤシュが中心となって90年代末期に結成されたグループで、マグマ方面のズール・ジャズ・ロックをピアノとボーカル/コーラスで試みるという、アコースティックなズール・サウンドを展開した。99年にファースト、02年にセカンド・アルバムをリリース、07年6月のル・トリトンでのライヴを最後に活動を休止していた。本作は、23年にリリースされたサード・アルバムで、前作から21年振りの作品、クレジットにはない12曲目がシークレット・トラックで収録されている。メンバーは、ギター&ボーカルのアヤシュ、ボーカルのイザベル・モジカ、ドラム&パーカス&ベースのフィリップ・グレーズ(ex.バンド・オブ・ドッグス,カイロウ,オファリング,ネフェッシュ・ミュージック,etc)のトリオ編成。今回ピアノを本職のギターに戻して、女性ボーカルとドラム&ベースを加えたアンサンブルは、シンプルさはあまり変わらないがより涼やかでエレガントというか、少しラテン・ジャズ的なアルペジオを基調としたアコギが、暑気払い的な納涼感を出していて、カラっとしたイザベルのボーカルのハマりも上々。しっとりとした佳曲の4曲目や、ほぼマグマの7曲目、意外にもポップな8,11曲目などなど、全体に曲調はそれなりにヴァリエーション豊富だが、結局ズール・テイストは一貫していて、例えばフォーク調のマグマを聴いているような感覚はけっこう面白い。マグマやズール云々を置いといても、ちょっと風変わりなメロディやコード感のフォーク・ロック系として十分成立していて、聴きやすいキャッチーさも担保された好盤と思う。これは悪くない!。
輸入盤
(Progressive/Zeuhl,Folk,Latin Jazz / Digi-Sleeve CD(2023) / ACEL/France)