フランスのムゼアからのリシュー。アンジュは、フランス東部のベルフォール出身のグループで、クリスチャンとフランシスのデカン兄弟が中心となって69年に結成されている。70年にシングル・デビュー、72年にファースト・アルバムをリリース後、数多のメンバー変遷を経ながら現在も現役で活動を続けるフレンチ・プログレのビッグ・ネームで、日本での知名度も高いと思う。本作は、72年にフランスのフィリップスからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、クリスチャン・デカン、フランシス・デカン、ジャン・ミシェル・ブレゾワール、ダニエル・アース、ジェラード・イェリシュの5人編成、プロデュースはクロード・ビボーネ。独特のシアトリカルな臭みともったり感が、ジェネシス崩れのプログレ的情感や非ブルース系のハード色と妙なマッチングを見せる、非常に面白いサウンドを展開。過剰気味のシアトリカルなボーカル、プカプカした浮遊感オルガン、太くてハードなギター、バタバタさとヘヴィネスが交叉するリズム体が、危ういバランスで溶け合うアンサンブルは、ゆっくりと回転する渦の中にいるような感覚に誘われ、一度ハマるとクセになるかも知れないエグ味満点。いわゆるフレンチ的モワ~っと感もあってか、知名度はあるのに聴かず嫌いの人が多い気もするが、このヒャラヒャラしたオルガンの音色や全体のもったり感こそ正しくサイケという印象で、宙吊りコード感や変テコなハミ出し感アレンジ等々、聴き応え十分で非常に面白い好盤と思う。このバンド、ある意味フレンチ・プログレの典型的要素がほとんど詰まっている感じ。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Psyche,Hard,Symphonic / Jewel-case CD(1995) / Musea/France)