ポーランドのオスカー・プロダクションから、「サイクロプス・レーベル・サンプラー Vol.6」収録曲2曲をボーナス(サイクロプス盤と同じ)で加えての、デジパックでのリシュー。トリオンはオランダのレーワルデン出身のグループで、フランボロー・ヘッドのエド・スパニンガの別ユニット。本作は、07年にUKのサイクロプス・レコードからリリースされたセカンド・アルバムで、前作「トータス」から4年振りの作品。メンバーは、前作と同じスパニンガ、エディー・ムルデル、メノー・ボームスマのトリオ編成。概ね、前作の延長線上にあるジェネシス的情感を基調としたシンフォニック・プログレ・インストを展開していて、ジェネシスだけでなくキャメルやフォーカスぽい部分も多々あるが、今回はイエス色は少し薄い印象。はっきりとしたクレジットはないが、曲によっては洪水メロトロンらしき音も入っていて、70年代懐古型シンフォニック・プログレとしては非常に優等生というか、演奏は上手いし楽曲はメロウで聴きやすく、情感はしつこ過ぎずアレンジも緩急が奇麗に流れていて、夢見るファンタジック系の美しさ十分。その意味では出来のよい上等なサウンドなのだが、裏を返せば引っ掛かりがないというか、このバンド自身の個性がまだ薄いのかも知れず、ともすればイージー・リスニング的にうっかりと聴き流せてしまったりもする。とはいえ、そういう無名性のメロウ&ライトな当たり障りのなさが彼等の狙いなのかも知れず、少なくとも演奏も仕上がりも上等で心地好く聴き流せるので、ジェネシス・タイプのシンフォニック・プログレ愛好家なら問題なく楽しめるのではと思う。
輸入盤
(Progressive/Symphonic / Digi-Pack CD(2023) / Oskar Productions/Poland)