スペインのオクトーバークサルト・レコードから、デジパックでのリリース。500枚限定プレス盤。シーオームは、オクトーバー・イクースのアンヘル・オンタルバと、ヴェスペロのアルカジー&イヴァン・フェドトフ兄弟が新たに結成したユニットで、本作は21年にリリースされたファースト・アルバム。メンバーは、ギター&ループのオンタルバ、ベース&シンセ&サンプラー&ドラム・マシーン等のアルカジー、ドラムのイヴァンのトリオ編成で、フレッド・フリスとロバート・フリップの要素が交叉するギターを軸に、ダークなエレクトロニクス、スペイシーなSE等々を絡めた独特のチェンバー・プログレ調サウンドを展開。例えば、オクトーバー・イクースのRIO系チェンバー感を担保しつつ、ヴェスペロのジャジーなプログレ感を融合させたような感じで、明るくはないがさりげなくメロディアスな楽曲、ダイナミズムの効いた細やかなアレンジ、セッション感を内包したアンサンブルはかなり見事。ギターのリヴァーブ&ループ感、シンセのホワイトノイズを基調としたスペイシーなエレクトロニクス感がいい塩梅で、特にフリス的な1曲目とフリップ的な9曲目辺りは素直にカッコいい。オクトーバー・イクースにもヴェスペロにも通じる要素はあるが、結果としてどちらにもストレートには似ていないというか、何か趣を異にする新たなサウンドに昇華されている印象。シリアスな透徹感がバンド感に収束する、この線としてはわりと文句なしの好盤と思う。ともかくも、個人的には1曲目のカッコよさにノックアウトされた。
輸入盤/限定500枚プレス/デッドストック入荷
(Progressive/Chamber Rock,Psyche,Symphonic / Digi-Pack CD(2020) / Octoberxart Records/Spain)