スペイン/EUのオクトーバークサルト・レコードから、見開きデジスリーヴでのリリース。シーオームは、オクトーバー・イクースのアンヘル・オンタルバと、ヴェスペロのアルカジー&イヴァン・フェドトフ兄弟が新たに結成したユニットで、本作は22年にリリースされたセカンド・アルバム。メンバーは、前作からのオンタルバ、フェドトフ兄弟の3人に、新たにオクトーバー・イクースのビクトル・ロドリゲスを加えた4人編成で、基本的には前作の延長線上にあるチェンバー・プログレ方面のサウンド変わらずという印象。とはいえ、ロドリゲスのエレピやオルガン、メロトロンが加わったことにより、全体のアンサンブルが非常に厚味を増していて、チェンバー・ロック方面の武骨なシリアスさとメロディアスなプログレ感が絶妙なバランスで同居。さらに、セッション調のインプロが随所で展開され、エレクトロニカ方面のドローン感を担保しつつも、ダイナミズムの効いたアレンジとバンド感十分の演奏が両立している。オンタルバのギターは、少しフレッド・フリス色が薄れロバート・フリップ色の方が強く顕われている感じだが、独特の宙吊り感コード進行によく合っていて、スペイシーなSEやノイズ・フラグメントのハマりも上々。ジャジーにボトムをキープするドラム、チェンバー・ロック的ダーク感を担うベースの組み合わせも面白く、時折変拍子も交えたアンサンブルはさりげなく上等でカッコいい。中世的暗黒感がある種の郷愁感に収束する、ダークだが美しく聴きやすい楽曲もいい塩梅で、チェンバー・ロックとジャジー・プログレのハイブリット系として、ジワジワと心地好い好盤と思う。素晴らしい!。
輸入盤
(Progressive/Chamber Rock,Psyche,Symphonic / Digi-Sleeve CD(2021) / Octoberxart Records/Spain,EU)