ベルギーのモットウ・サウンズからのリリース。キャプテン・チーズ・ビアードは、フランク・ザッパのトリビュート・バンドを母体として、15年にブリュッセルで結成されたグループで、キャプテン・ビーフハートを捩った『チーズ髭船長』というバンド名も含め、けっこうシャレの効いたザッパ的サウンドを展開する。本作は、16年にリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、ヨハン・デ・コニンク、ヴァネッサ・スペイ、トドル・ステファノフ、ピエール・シュヴァリエ(ex.ユニヴェル・ゼロ)、パスカル・ハウベン、ディディエ・デ・メーステレ、バート・カルティエの7人編成を基本に、曲によって管楽器やボーカルが適時ゲスト参加、デ・コニンクとマティアス・ヴィドショルドの共同プロデュース。概ね、期待通りのザッパ・ライクなサウンドで、ブルース、ソウル、ファンク、R&Bをジャズ・ロック的プログレで括った感じというか、例えば「ホット・ラッツ」、「アポストロフィ」、「オーヴァーナイト・センセーション」、「ワン・サイズ・フィッツ・オール」、「シーク・ヤプーティ」、「ベイビー・スネイクス」辺りのザッパ作品が頭に浮かぶ印象。『不明瞭な発音、ぶつぶつ言う』というクレジットの、ちょっと笑っちゃう程ザッパに似ているボーカルを始めとして、変拍子を交えたリフやフレーズ、ギターの音色、マリンバやヴィブラフォンの使い方など、ザッパ的なるものが全体に溢れているが、いい塩梅でオリジナリティと融合している感じ。全体に、上等で濃密な演奏は素直にカッコよくて、ザッパ・フォロワーとして嫌味もなく、ともかくも心地好く楽しめる好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Blues,Jazz Rock,Soul,Funk / Jewel-case CD(2016) / Mottow Soundz/Belgium)