ロシアのVMS(ヴェスペロズ・モービル・スタジオ)から、見開きデジスリーヴでのリリース。ヴェスペロはカスピ海北岸のアストラハン出身のグループで、アレクサンドル・クゾフレフとアルカジー&イヴァン・フェドトフ兄弟(ex.マート・ランダー,シーオーム,etc)が中心となって03年に結成された。オズリック・テンタクルズ・タイプと評されたスペイシーなポスト・ロック系を基調に、近年はチェンバー・ロック方面の実験色やカスピ海周辺のエスニック・ミュージックの要素も交えて活動、現在までに20枚以上のアルバムをリリースしている。本作は、16年にリリースされたライヴ・アルバムで、15年5月15日にアストラハンのユニオン・オブ・シアター・アーティスツで行われたコンサートを収録。メンバーは、クゾフレフ、フェドトフ兄弟、アレクセイ・クラブコフ、ヴィタリー・ボロジーン、アレクサンドル・チマコフの6人編成を基本に、曲によってパーヴェル・アレクセーエフが適時ゲスト参加。概ね、オズリック・テンタクルズ方面のスペイシーなポスト・ロック感を担保しつつ、スティーヴ・ヒレッジやピエール・ムーラン在籍時のゴング調ジャズ・ロック色を交えたサウンドを展開。流暢なギター、ギスギスしたヴァイオリン、スペイシーなキーボード、ジャジーなリズム隊によるアンサンブルは、噛み合わせがよくバンド感も十分で、一体となってインプロで盛り上がる様は緊張感があって素直にカッコいい。スペイシーなジャズ・ロック系インスト・プログレ系として、わりと文句なしの好ライヴ盤と思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Psyche,Jazz Rock / Digi-Sleeve CD(2015) / VMS/Russia)