UK/EUのKスコープ・ミュージックから、デジパックでのリリース。グレブ・コリャーディンはサンクトペテルブルク出身のピアニスト兼キーボード奏者で、マルヤナ・セムキナとのデュオ・ユニットのアイアムザモーニングでの活動で知られているかも知れない。現在はロンドンを拠点に活動しているようだ。本作は、22年にリリースされたソロ名義サード・アルバムで、メンバーは、コリャーディン、ヴラド・アヴィ(ex.クービックマギー,etc)、ゲヴィン・ハリソン(ex.ポーキュパイン・トゥリー,キング・クリムゾン,etc)のトリオ編成を基本に、トニー・レヴィン(ex.キング・クリムゾン,ピーター・ガブリエル,etc)、ゾルタン・レナルディ、エヴァン・カーソン等が曲によって適時ゲスト参加、アヴィ、レナルディ、カーソンもアイアムザモーニング関連。コリャーディンの流暢なピアノと華麗なキーボード群を主軸とした、正調シンフォニック・プログレのど真ん中的サウンドを展開していて、ミニマル色も内包のロック調リフ&フレーズも交えた、クラシック基調のメロディアスな楽曲とドラマティックなアレンジ、一糸乱れぬバカテクなアンサンブルが、じつに見事なマッチングを見せる。ほとんど変拍子は出てこないが、クラシカルなマテリアルを細やかに組み合わせて、プログレ然とした情感を担保しつつダイナミズム十分で盛り上がる演奏は素直に圧巻で、楽曲のエレガントな美しさや抒情感も申し分ない。装飾的だがツボを押さえたギターのハマりもよく、何よりピアノ&キーボードを的確にフォローしつつ大爆発するドラムが殊の外濃密で、全体にこの線としてはおよそ文句なしの好盤と思う。シンフォニック&クラシカル・プログレ系愛好家はまずもって楽しめるのでは。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Classic / Digi-Pack CD(2022) / Kscope/UK,EU)