スペインのゴット・カインダ・ロスト/ゲルッセン・レコードから、21年新規リマスターでのリシュー。マギはインディアナ州ゴーシェン出身のグループで、本作は76年にUSAブライス・ロビンソン・レコードからプライヴェート・プレスの自主制作盤としてリリースされた唯一のアルバム。メンバーは、ジョン・ガウト、ラリー・スタッツマン、スティーヴ・ヴァンラニンハム、トム・スティーヴンス、ジェリー・ウィギンズの5人編成、バンドとブライス・ロバーソンの共同プロデュース。概ね、ハイトーンのシャウト・ボーカルとツイン・ギターを中心とした、わりとオ−ソドックスなブルース基調のポップ・ハード系サウンドを展開していて、曲によってはサイケ調のインプロで盛り上がりも見せる。全体に、アメリカのバンドらしいカラっとしたポップネスと、適度にヘヴィでブルージーなギター・リフが上手くマッチングしていて、キメのアイデアやフレーズの展開といった楽曲・アレンジ面もハマっていてカッコいいが、リード・ギターが時折速弾きでコケたり、キメの部分で全員が合ってなかったりもして、演奏には自主制作レベルのヨレもあり。ところがしかし、孤軍奮闘に近いベースは素直に上手く、ボーカルとドラムもけっこう安定していて、楽曲も真っ当にしっかりしていて悪くなく、これでリード・ギターがもう少し上等だったら、ブルー・オイスター・カルトやエイプリル・ワイン方面のハード・ロック系バンドとしてイケてたかも知れない。オリジナルLPはそれなりにプレミアが付くらしいが、ある意味ほほえましくもB級な自主制作ハードとして、ハード・ロック系愛好家なら十分に許せる範疇と思う。
輸入盤
(Pop Hard/Blues,Psyche / Jewel-case CD(2021 Re-master) / Got Kinda Lost Records/Spain)