ドイツのアワ・スイミングから、限定アナログLPでのリリース。アルヴァン・カランはロードアイランド州プロビデンス出身の実験音楽家で、60年代にイタリアに渡ってリチャード・タイテルバウム等とともにムジカ・エレットロニカ・ヴィヴァで活動、その後ソロに転じた。即興演奏、エレクトロニクス、ミュージック・コンクレート手法を絡めた現代音楽系のビッグ・ネームの1人。本作は、80年にイタリアのフォーレからリリースされたソロ名義サード・アルバムで、インサート入。声、ピアノ、サージ・モジュラー・シンセ、テープ・ループ&操作を駆使したカラン1人による演奏で、プロデュースはウーゴ・マヨーネ。時に能の謡や合いの手、またはホーミー的様相も呈する、妙な歌というか声、武満徹的でミニマリスティックなピアノ、ノイジーなドローン・シンセ、フィールド音も絡めたテープ操作が、独特の間合いで交叉するサウンドを展開。即興生演奏&ミュージック・コンクレート的内容で、全体に漂う現代音楽系のシリアスな透徹感は、決して親しみやすくはないかも知れないが、非常に映像&絵画的な音像には何かしらの情感とストーリーが感じられる。前述の各フラグメントがある種のスピリチュアル感に収束しながら、一体となってダイナミズムを構成していく様は非常に見事で、エディス・シュロスのアッサンブラージュ作品「アルズ・ランチ」をあしらったスリーヴも含め、スタイリッシュな美しさと強面な文学性が同居する好盤と思う。素晴らしい!。
輸入盤
(Psyche/Experimental,Electronics,Musique Concrete / Vinyl LP(2021) / Our Swimmer/German)