UKのシーリー・コートから、限定アナログLPでのリシュー。テクスチャー紙スリーヴ仕様、21年新規リマスター音源、500枚限定プレス。カラコルムは、おそらく69年頃にロンドンで結成されたグループで、71年頃まで活動したようだがリアル・タイムでの作品リリースはなかった。本作は、69年の夏に(クイーンが「オペラ座の夜」を録音したことでも知られる)ウェールズのモンマスシャーにあるロックフィールド・スタジオでレコーディングされた未発表マテリアル集で、歌詞掲載インサート入。メンバーは、おそらく先にシーリー・コートからリリースされたもう1つの未発表集「ゲイト・オブ・ソーツ」と同じ、ジェームズ・ウィリアムズ、ポール・コボルド、マーティン・チェンバースのトリオ編成を基本に、曲によってリッチ・エドワーズが適時参加していると思われる。概ね、サイケ、ブルース、スワンプ、ハード、プログレ等々の要素がゴッタ煮のまま交叉する、煮え切らなさ十分のサウンドを展開していて、その意味ではいかにもブリティッシュ然とした印象。ブルース基調としながらも型を崩した未整理感丸出しの楽曲、インプロを交えた妙なハミ出し感を放つ演奏の組合せは、当時のニュー・ロックの風の中で何か新しいことを模索しようとする気概と意気込みが感じられ、中途半端な納まりの悪さが結果として味わいになっていて面白い。ソロがわりと素直にカッコいいギター、少し変テコなラインでよく動くベース、安定していてフレーズのハマりもよいドラムによる演奏は普通に上手く、ともかくも全体がアングラ感満点のB級感に収束していて、ブリティッシュ・ロックの深いところの好サンプルと思う。
輸入盤/限定500枚プレス
(Progressive/Psyche,Blues,Swamp,Hard / Vinyl LP(2022 '21Re-master) / Seelie Court/UK)