チェコのインディーズ・レコードから、限定アナログLPでのリシュー。イヴァ・ビトヴァはスロヴァキア出身のロマ系譜のヴァイオリニスト兼ボーカリストで、フレッド・フリスの映画「ステップ・アクロス・ザ・ボーダー」へのパヴェル・ファイト(ex.デュナイ)とのデュオでの出演の他、ヴラディミール・ヴァーツラヴェク、バン・オン・ア・カン、シュカンパ四重奏団等との共演でも知られているかも知れない。ヴァイオリン弾き語りスタイルを基本として、ロマ音楽とスラヴ音楽を融合させた独特の音楽性を持つ希有な存在。本作は、ヴァーツラヴェクを軸としたユニットのチコリとの連名作品で、01年にリリースされたファースト・アルバム(音質維持のためか、01年CD盤全ては収録せず、3曲少ない)。メンバーは、ビトヴァ、ヴァーツラヴェク、フランチシェク・クチェラ、ヤロミール・ホンザーク、ミロス・ドヴォジャーチェクの5人編成で、マルティン・コシャ、リヒャルト・ミュラー、パロ・マルシャクの共同プロデュース。アコースティック・ギターやヴァイオリンとリズム隊によるシンプルで引き締まった空間に、イヴァ独特の猫の目ヴォイスが跳ね回る独特のアコースティックなチェンバー系サウンドを展開。全体に、無重力的浮遊感と淡い郷愁感があって、掌から砂が溢れていくような掴み所のなさは、正しくサイケで非常に心地好い。同じ旧チェコ出身のダグマー・アンドルトヴァよりは、もっと肉感的で内省的なリアリティのある輪郭のくっきりした演奏で、生々しくて原初的な存在感と凛としたスピリチュアル感が同居している印象。全体に楽曲もメロディアスで聴きやすく、蒼い空色が美しいスリーヴも含め、ともかくも唯一無比の強烈な存在感を放つ大好盤と思う。素晴らしい!。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Psyche,Acid Folk,Strange / Vinyl LP(2021) / Indies Records/Czech)