イタリアのBTF/ヴィニール・マジックから、72年のアルバム未収シングル1曲をボーナスで加えてのリシュー。デリリウムはジェノヴァ出身のグループで、62年結成のビート・ポップ系バンド、イ・サジッターリを母体として、イヴァノ・アルベルト・フォッサティ加入後の70年にデリリウムに改名した。改名当初は、コロシアムとシカゴをミックスさせたようなジャズ・ロックを目指したということで、もしかすると最後に加入したフォッサティが、長年シングルのリリースだけで燻っていたバンドを乗っ取り、創設メンバーで唯一残っていたリッカルド・アンセルミを追い出す形で再出発したのかも知れない。本作は、71年にイタリアのフォニット・チェトラからリリースされたファースト・アルバムで、11年BTFペーパースリーヴ盤CDと同じリマスター音源、音質はクリアで迫力もあってよい。メンバーは、フォッサティ、ミモ・ディ・マルティーノ、エットーレ・ヴィゴ、マルチェッロ・レアーレ、ペッピーノ・ディ・サントの5人編成、曲によってジャンカルロ・キアーラメッロの手によるストリングスが入る。この後カンタウトーレのソリストとして大成功する、フォッサティの枯れたボーカル&フルートを軸とした牧歌的ジャズ・ロック・プログレを展開していて、カンタウトーレ的情感とジャズ・ロック的演奏が妙なマッチングを見せる。乾いた音のアコースティック・ギターやプログレ然としたキーボード群、ジャジーなリズム隊による演奏はヘタウマ的だが、枯れたボーカル&フルートと相俟って独特の浮遊感と郷愁感を生んでいて、イタリア臭さ加減もある意味絶妙。そのイタリア臭さとくぐもり感のマッチングが不思議な味わいの心地好さを放っていて、郷愁をそそる素朴さといなたさが捨て難い。フォッサティのソロ関連が好きな人も、まずもって気に入るだろう要チェックの好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Jazz Rock,Cantautore / Jewel-case CD(2025 '11Re-master) / BTF/Vinyl Magic/Italy)