UKのReRメガコープから、ボーナス1曲を加えての3面開きデジスリーヴでのリリース。パオロ・アンジェリはサルデーニャ島パラーウ出身のギタリスト兼ボーカリスト兼マルチ奏者で、89年からボローニャを拠点に実験音楽・現代音楽方面で活動を開始した。90年代中頃以降は、ソロと並行してラボラトーリオ・ディ・ムジカ・エ・イマジーネにも参加、00年代以降は、自ら開発した『サルディニアン・ギター』と称するチェロのような大型のプリペアド・ギターを使って活動している。本作は、22年にリリースされたアルバムで、全編サルディニアン・ギターとサルデーニャ語ボーカルを軸としたアンジェリ1人による多重レコーディング。サルディニアン・ギターは、チェロやヴィオラのような音色の弓弾きと、従来のギターのようなアルペジオ、リフ&フレーズを使い分け、歪みやリヴァーブ、逆回転などのエフェクトを適時かませたりしながら、ノイジーなエレクトロニクスも絡めてドローン空間を構築。そこに時折、アラビック感内包の地中海音楽然としたメロディのボーカルが、淡い郷愁感を放ちながら浮遊するスタイルで、全体に古代ローマ的な乾いたスピリチュアル感十分。もしかして曲によっては、ウッド・ベースやパーカス、ヴィブラフォンなども使っているような気もするが、サルディニアン・ギターの豊かな表情と音色のヴァリエーションは素直に圧巻で、特にボーナスも含めた7曲目以降の、ドローン感を担保したまま盛り上がっていく情感のダイナミズムは非常に見事。例えばフランコ・バッティアート辺りに通底するセンスの、地中海音楽+実験音楽サウンドという印象で、ともかくも正しくサイケで流していて心地好く、古代地中海のイメージへとトリップ出来る好盤と思う。
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輸入盤
(Progressive/Psyche,Eletronics,Mediterranean / Digi-Sleeve CD(2022) / ReR Megacorp/UK)