イタリアのブラック・ウィドウからのリリース。エレクトリック・スワンは、ウィックド・マインズのルーチョ・スワン・カレガリとパオロ・アポッロ・ネグリが、08年に新たに始動したユニットというかグループで、ウィックド・マインズ同様にエミリア=ロマーニャ州ピアチェンツァを拠点に活動しているようだ。本作は、12年にリリースされたセカンド・アルバムで、メンバーは、カレガリ、ネグリ、モニカ・サルデッラ、エド・ジョヴァネッリ、マルコ・バルビエリの5人編成。前作から女性ボーカリストが交代しているが、概ねブラック・サバス辺りをモデルとした70年代型サイケ・ハード路線に変化はなく、ウィックド・マインズとも近からず遠からずの、ドゥームやストーナー系の要素も内包したスタイル。とはいえ、ブルース基調のファズ・ギターとクッキリ系の女性シャウト・ボーカルを軸に、ヘヴィなリフ&フレーズでグイグイ押してくるタイプの演奏はバンド感十分で、適度なプログレ感を担保するツボを押さえたオルガンや、ラウドネスを担うリズム隊のハマりも上々。ギターのファズ加減が少し整い過ぎていたり、オルガン以外の装飾的なキーボードが軽めだったりと、全体にちょっと下品さがもの足りないという気もするが、リフの重ね方や組み合わせ、構成のダイナミズムなどのアレンジがけっこう練られていて、全員一体となって疾走するアンサンブルもわりと素直にカッコいい。例えば7曲目のジャニス・ジョプリンのカヴァーも含め、ドゥーム&ストーナー色はあまり強くはなくて、どの楽曲も適度にメロディアスでわりと粒が揃っていて聴きやすく、この線の70年代型サイケ・ハード系としては、オールドな愛好家も普通に楽しめるだろう好盤と思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Hard,Blues,Psyche / Jewel-case CD(2012) / Black Widow/Italy)