イタリアのユニバーサルから、18年新規リマスター&見開きデジスリーヴでのリシュー。アラン・ソレンティはナポリ出身のカンタウトーレ(シンガー・ソング・ライター)で、異様な夢遊病的路線のサードまでと、洗練されたAOR路線に豹変したフォース以降に大別されるが、少なくともサードまでの浮世離れしたサウンドは、ともかくも強烈なインパクトを放つ孤高の存在。本作は、72年にイタリアEMIハーヴェストからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、アランを軸に、同じナポリ出身のトニー・エスポジト、ザッパ加入直前のジャン・リュック・ポンティの他、ヴィットリオ・ナッザーロ、アルベルト・プリンス、トノー・ボンフィルス等が曲によって参加、プロデュースはコルラド・バッケーリ。この幽玄な響きと狂気はちょっと尋常ではなく、太くウネるベースとアコースティック・ギターの強いストローク、ノイズ音の上手いハモンド・オルガンとキレのよいドラムが創り出すモア~っとした独特の浮遊空間に、弾きまくるポンティのヴァイオリンが切り込み、アランのこの世のものとは思えない狂気のボーカルが炸裂、ダークな雰囲気のまま全員で狂ったように盛り上がっていく様は圧倒的。妹のジェーン・ソレンティのサン・ジュストも含め、ソレンティ兄妹の音楽には、例えばオザンナにも感じられるナポリという土地の古の神秘主義的なオルフェウス信仰を根源に持つ、シャーマンの血のようなものが確実に流れているのかも知れない。正しくサイケで妖しさ満点、唯一無比の素晴らしいサウンドと思う。ともかくも、この異様さは本当に凄い。EUプレス盤/TESオビ・解説付
輸入盤
(Progressive/Psyche,Acid Folk,SSW / Digi-Sleeve CD(2018 Re-master) / Universal/Italy,EU)