スペインの5ルナス・プロダクシオネスから、本編収録曲の別ヴァージョン1曲をボーナスで加えての、23年新規リマスター&3面開きデジスリーヴでのリシュー。500枚限定プレスの手書きシリアル・ナンバー入、おそらく初単独CD化。ザ・ストームはスペインのバルセロナ出身のグループで、ルイス・ゲニザ兄弟が中心となって71年に結成されている。本作は、74年にスペインのアルバからリリースされたセカンド・アルバムで、74年ファースト「ザ・ストーム」リリース後、メンバーたちの兵役などで一旦解散していたが、無事お役御免となって再編という流れ。メンバーは、エンゲル・ルイス・ゲニザ、ルイス・ゲニザ・ロドリゲス、ディエゴ・ルイス・ゲニザのファーストの3人に、新たにペドロ・ガルシアを加えた4人編成、プロデュースはホセ・ルイス・ゴンザレス。基本的に従来のハード・ロック色は担保されているが、B級プログレ感満点のストリングス・シンセの導入もあって、泣きのプログレ・ハード的様相のサウンドを展開。その意味では、ディープ・パープルとジミヘンの影響が強く、あまりスペイン臭が感じられなかったファーストとは趣を異にするというか、ここに来てわりとスパニッシュ・プログレ然としたイモっぽさ十分という印象。インストの3,4曲目を始めとして、楽曲もブルージーなハード色よりもプログレ調のメロディアスさが強く顕われていて、とはいえプログレ方面に振り切っているという程でもない煮え切らずの折衷感が、さらにB級の味わいを生んでいる感じ。唯一ブルース色を担保したギターのオーソドックスさが、結果としてオールドファッションさに収束していて、けっこう面白いマッチングの1枚と思う。
輸入盤/限定500枚プレス
(Blues Hard/Progressive / Digi-Sleeve CD(2023 Re-master) / 5 Lunas Producciones/Spain)