フランスのランピィ・グレイヴィ・レコードからのリシュー。ギフトはアウクスブルク出身のグループで、69年に結成されたハイスクール・バンドのファルス・ダイを母体としている。72年にテレファンケンと契約した際に名前をギフトに改名、74年までに2枚のアルバムをリリースして解散した。2枚ともジャーマン・ハードのコレクターズ・アイテムとして、マニアの巷ではそれなりに知られる存在。本作は、72年にドイツのテレファンケンからリリースされたファースト・アルバムで、クレジット・メンバーは、ヘルムート・トライヒェル、ライナー・バウル、ニック・ウッドランド(ex.サブジェクトESQ.,サハラ)、ウヴェ・パツケ、ヘルマン・ランゲの5人編成だが、本作レコーディング時には既にウッドランドは脱退してサブジェクトESQ.に加入、演奏には参加していないという情報もある。プロデュースはオットー・ハルトマン。概ね、ハード・ロック色、プログレ色、サイケ&アート・ロック色が交叉する、ゴッタ煮感の強い折衷サウンドを展開。ブルースを基調としたハード・ロック・タイプの楽曲を、場面転換の多いプログレ的アレンジと、ハード&サイケ調の演奏で括っているという印象で、ハード系のヘヴィネスとサイケなアングラ系の空気感が、いかにもというギラギラしたクラウト感でハマっている。サイケ&プログレ色のあるハード・ロックとしても十分成立していて、全体に漂うB級感満点の雰囲気と、引き摺るような重さや太さはわりと素直にカッコよく、プレミアム云々を抜きにしてもハード&サイケ愛好家なら問題なく楽しめるだろう好盤と思う。
輸入盤
(Psyche Hard/Blues,Progressive / Jewel-case CD(2015) / Lumpy Gravy/France)