UKのオーロラから、73年のアルバム未収シングルB面1曲をボーナスで加えてのリシュー。ファンタジーはケント出身のグループで、ポール・ローレンスとデヴィッド・メトカルフが70年に結成したチャペル・ファームを母体として、ピーター・ジェームスとジョン・ウェブスターが在籍していたジョイと合体する形でファイアクイーンに改名、さらに73年にポリドールとの契約の際に名前をファンタジーに改めた。本作は、73年にUKポリドールからリリースされた唯一(発掘音源を除く)のアルバムで、メンバーは、ローレンス、ジェームス、メトカルフ、ウェブスター、デヴィッド・リードの5人編成、プロデュースはピーター・セイムズ。コレクターズ・アイテムとしてわりと著名な1枚だが、例えばパーラー・バンドやアスガード辺りに通じる感じのフォーク・ロックを基調としたメロディアスな楽曲を、プログレ然としたドラマティックなアレンジで展開するタイプのサウンドで、ある意味で典型的な哀愁のシンフォニック・プログレと云ってよいと思う。演奏自体はわりと地味で薄味な印象だが、メロトロンとアコースティック・ギターが味わい深く、適度なキャッチーさも手伝って非常に聴きやすくて耳触りがよい。この、ブリティッシュ的な湿ったメロウさや寸止め感、甘めの音色の丸味のあるサウンドはけっこう心地好く、プレミアム云々を抜きにしても、ブリティッシュ・ロックやシンフォニック・プログレ愛好家なら素直に楽しめると思う。
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(Progressive/Folk Rock,Symphonic / Jewel-case CD(2011) / Aurora/UK)